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日比谷図書館 歴史コラム

第2回 エリザベス・アンナ・ゴルドン<1> 

―日比谷図書館の蔵書日英文庫(Dulce Cor Library)の創設者―

 

 

 草創期の日比谷図書館の蔵書には、「日英文庫」と称する洋書の一大コレクションがありました。このコレクションの創設にあたっては、一人の英国人女性の尽力がありました。その方が今回ご紹介するゴルドン夫人です。

 この回では、彼女の略歴・日比谷図書館との関わりについてご紹介したいと思います。

 

○ エリザベス・アンナ・ゴルドン(Gordon,Elizabeth.Anna 1851-1925)

 

1 生い立ち

 

 1851年、英国ランカシャー地方の名家ヘンリー家に生まれ、スコットランド名門の貴族ジョン・エドワード・ゴルドンと結婚します。夫人はヴィクトリア女王の女官を勤め、更にオックスフォード大学で比較宗教学を学びました。

 大学在学中に日本人留学生 高楠順次郎(後に東京外国語大学校長、東京大学名誉教授)と交友を持ち、このことが後年、彼女と日本を結びつけるきっかけとなりました。

 英国の旅行記「Clear Round」に、夫妻で世界旅行の際に立ち寄った日本での手記を寄せ、その後ジャパン・ソサイエティ(※1)に入会しています。

 

 

2 日比谷図書館との関わり

 

 日露戦争後、高楠は「英語が国民教育の重要な位置を占めてから三十年以上経つが、国民の修養において効果が少ないのは、英語の本の選択の幅がせまいからである。今の日本には、読書の幅を広げ、自由に読書するということが望めない状況にある。このため語学の上達も妨げられる。英国人のように読書が趣味、教養を養うという美点・長所を知り得ることが少ない。(中略)これらの文学書をしかるべき方法で吸収(寄贈してもらう)したならば、国民趣味の向上と思想の修養とに貢献することができる。(筆者意訳)※2」との考えを示していました。

これにゴルドン夫人が賛同したことから、日比谷図書館との関わりが始まりました。

 

 日本は当時、日露戦争後の日英同盟下にあったという状況もあって、欧米の関心も高く、英国・カナダ・米国の新聞に広告を行ったところ、この種の書籍が続々と集まったようです。

 高楠のもうひとつの目的は、日露戦争の戦勝記念図書館である「東京戦役記念図書館(Dulce Cor Librar)※3」を開設することでしたが、結局、資金の問題から「東京戦役記念図書館」が設立されることはありませんでした。高楠はこれらの資料を東京市に寄託し、それが後日、日比谷図書館の日英文庫となったのです。

 

 なお、明治40年(1907)ゴルドン夫人は来日し、日英文庫のある東京市立日比谷図書館の開館式に出席しています。 

(次回に続く)

 

※1 ジャパンソサエティ(=日本協会)。英国において、日本・英国間の関係を促進することを主要な目的として組織された団体。

※2 原文は明治期の文章であるため、筆者により意訳いたしました。

※3 その設立の趣旨から「Dulce Cor Librar:温情図書館」と呼ばれました。 

 

参考文献

・ゴルドン婦人と日英文庫 森睦彦著 東海大学紀要課程教育センター 1992.3

・吉田昭子著 東京市立日比谷図書館構想と設立経過:議論から開館まで Library and Information Science No.64 2010 p135-175

・東京の近代図書館史 佐藤政孝著 新風舎 1998.10

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