近代日本ものづくり研究会 日比谷カレッジ版 経済の縮小に対応できる社会とは ~谷根千工房の実践をヒントに~ レポート

520日(土)、近代日本ものづくり研究会 日比谷カレッジ版「経済の縮小に対応できる社会とは~谷根千工房の実践をヒントに~」を開催しました。講師には、京都大学名誉教授・縮小社会研究会代表理事の松久寛氏、谷根千工房代表取締役の山﨑範子氏をお迎えしました。
初めに、松久氏から縮小社会とはどのようなものか、概要を説明していただきました。

近代日本ものづくり研究会 日比谷カレッジ版 経済の縮小に対応できる社会とは ~谷根千工房の実践をヒントに~

エネルギー使用の年2%縮小で化石燃料が枯渇するまでの時間を引き延ばすことができ、年2%の縮小は可能であることをグラフや具体的事例を紹介していただき、人口減少や高齢化ですでに「縮小」が始まっている社会においては、成長が豊かさや幸せとイコールではない、発想を転換し楽しく縮小して、みんなが幸せになる社会を構築していくべきというお話から、そういった幸せな社会の都会での実践例として山﨑氏の谷根千のお話へとつないでいただきました。

近代日本ものづくり研究会 日比谷カレッジ版 経済の縮小に対応できる社会とは ~谷根千工房の実践をヒントに~

山﨑氏からは、東京には珍しい自然、地震・戦災に耐えた建築物、史跡、形にはならない暮らしぶり等々を調査・記録・紹介して次世代に渡す手だてとして地域雑誌『谷根千』を1984年に発刊したことを説明していただき、その活動を具体的な事例を挙げて紹介していただきました。
旧東京音楽学校奏楽堂や旧安田楠雄邸、長く使われていなかった蔵の保存・公開・活用などは他の地域でも参考にできそうな活動で、そこに関わる地域住民にとっては歴史の再発見でもあるようです。
「懐古趣味ではなく、良いものを生かしながら、暮らすのが楽しい、生きのいい町として発展するのに少しでもお役に立てたら」という『谷根千』の編集方針は、「丈夫で長持ち」「良いものを長く使う」といった縮小社会のコンセプトと親和性があり、実践例としては大変わかりやすかったのではないでしょうか。
地域雑誌としての『谷根千』は2009年に終了していますが、活動はまだまだ続いていて、谷中にあったのこぎり屋根の織物(リボン)工場の記録・資料調査は今後の進捗が期待されます。また、井戸が埋められるという計画があると「祟りがある」と中止するよう説得するなど、楽しく地域の景観や歴史を守っていく活動の様子がよくわかりました。
今回の講座ではさらに、「谷根千地域におけるソーシャルキャピタルと健康に関する住民参加型アクションリサーチ」についても紹介していただきました。谷根千地域の高齢者が「幸せそうにみえる」ことから、始まった研究とのことですが、どのような結果になるか、大変興味深いところです。

近代日本ものづくり研究会 日比谷カレッジ版 経済の縮小に対応できる社会とは ~谷根千工房の実践をヒントに~

参加者の皆さんからは「本当に必要なものは何か考えて暮さねば」「縮小社会と一般社会生活との相関性のヒントが得られました」「地域の歴史認識、文化の保存などの必要性を改めて痛感」といったコメントが寄せられ、今の暮らしについて再考するきっかけとなる講座内容でした。

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