BONSAI 海外の盆栽人気から学ぶ 日本の盆栽美と継承 レポート

近年、日本文化を海外に発信する動きが大きくなってきましたが、盆栽は早くから海を渡り多くの外国人愛好家に楽しまれています。スペイン マドリードにある王立植物園にはゴンザレス元首相の盆栽コレクションが集められ、フランス パリでは2015年に大宮盆栽の期間限定アンテナショップが開催され、9日間で1,200人もの来場者を誇るなど、日本の盆栽は芸術性の評価も高く、欧米をはじめ海外で「BONSAI」として認知度を上げ続けています。

そんな海外での盆栽の楽しみ方や展示方法など、日本人がイメージする盆栽とは一味違う「世界から見たBONSAI」を中心に、日本人として今後どう盆栽を広め、日本に後継者を残していくのかをお話いただく講座、「BONSAI 海外の盆栽人気から学ぶ 日本の盆栽美と継承」を盆栽師の平尾 成志(ひらお まさし)氏を講師にお迎えし、11月9日(月)に開催しました。

平尾氏は2013年に文化庁文化交流使の任命を受け、わずか4ヶ月間でリトアニア、イタリア、フランス、アメリカ、メキシコ、オーストラリアなど、世界11ヶ国を周り盆栽の美意識とその楽しみ方を教え、盆栽を通じた文化交流を行ないました。現在でも、様々な国で盆栽のデモンストレーション・ワークショップ等を行い、盆栽文化を発信する活動をされています。

海外ではその国の木を用いて作る盆栽も多く、スペインではオリーブを用いたり、プエルトリコでは南米の木々を用いてトロピカルな盆栽を作ったりと、盆栽を「クリエイティブな3Dアート」として捉えています。「芸術的観点」「精神的観点」に興味を持った多くの海外の人々が日本の盆栽文化を上手に取り入れ、自国ならではのBONSAIを楽しんでいることを様々な写真で紹介されました。

日本では盆栽のワークショップを行なう際、主催者が予め盆栽を用意しそれを素材として剪定することが多いそうですが、海外の場合、自分の盆栽を持ち込み、「自分の国、自分ではこうしている」というこだわりを持ってワークショップに臨んでおり、多くの質問や意見を交わしながらの作業は3~6時間にも及ぶこともあるそうです。2001年から2013年までの間に盆栽の輸出額が12.8倍へと増えたことからも、その人気の高さがうかがえます。

海外でのBONSAI人気の一方で、幾つかの問題、課題もあるといいます。

海外では「山採り」が一般化し、高値で消費者に供給するいわゆる“密輸”を行なう業者も出てきていると平尾氏は述べられます。採ってきても管理が出来ない、また不当なルートで出回ってしまうために、正しく採取し管理している老舗盆栽店が窮地に追い込まれるケースもあるといいます。

また、発信元である日本では、海外ほど若い世代に盆栽は受け入れられておらず、盆栽の協会員数は、盆栽人気が高い欧米と比べると半数以下であるという事実もあります。

過剰な輸出がある一方、その盆栽人気に対応できる人材が不足しており、正しい盆栽技術や精神的なことを語り、広める活動が不十分なため、このままでは日本盆栽がなくなってしまうのではと危惧しているそうです。日本が長年培ってきた盆栽という伝統を、この先ずっと継承していくために、「アートとして再認識すること」、「“国内の盆栽の世界”だけに留まらず、他業種・異業種・海外とコラボレーション(共同制作)すること」など、より多くの手法を用いて国内外に発信していくことが大切であり、これからもその活動を進めていきたいと話されました。

海外のBONSAI人気によって、日本の盆栽文化を見直し、また今後この文化をどう継承していくのかを考えさせられる時間となりました。アンケートでも「日本伝統の文化と精神を世界に広めていただいて、その姿勢に頭が下がります。まずは日本人がその良さ、伝統、歴史を再認識しないといけませんね。」「海外も舞台にしている先生ならではの海外事情のお話が聞くことができて勉強になりました。」「これぞ日本文化。若い力で広めて頂きたいと思いました。」といったご意見が寄せられました。

 

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